リスナーのマナー


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リスナーの礼儀






リスナーの礼儀

<ケン> 「今日はおとうさんもおかあさんも機嫌悪くない?」


<ミイ> 「うん、なんか元気ないよね。
さっきおとうさんがアタシを抱きしめてブツブツ言ってたの。

ゆうべの演奏会でリスナーの1人の人に
”ドミンゴみたいに歌ってくれ”って言われたんだって。

ねえ、ミイちゃん、そういうのってすご〜く
礼儀に反しているって思わないか?って」

<ケン> 「そうか、それでおとうさんは機嫌が悪いんだね。
そりゃあムカついているかもしれない。

そんなこと言うその人はウチに帰ってドミンゴのCDでも
聞けばいいのにね。

ワザワザ生の音楽を聴きにきているのにね。
モッタイナイ!猫は行かれないんだぜ!」

<ミイ> 「常識的な礼儀を分ってない人とか、分ってない猫も
どこにでもいるけどネ。」


<ケン>



「ボクはおかあさんから、さっき聞いたんだよネ。
やっぱりゆうべライブの仕事で、リスナーに”エラ・フィッツジェラルド”の曲を弾いて〜”
って言われたんだって。

エラ・フィッツジェラルドは作曲家ではないし、おかあさんは歌手じゃないし。
適当にスタンダード・ナンバーを弾いて済ませたらしいけど、何か無理して知ったかぶり?
して言いたい人っているみたい。」


<ミイ> 「”イパネマの娘”を弾き終わると、”イパネマの娘”お願いしますって
リクエストが来たりするんだって。
”今やったでしょ、聴いてなかったの?”って言いたくなるって。」


<ケン>

「曲のメロデイーと題名とが不一致とか、潜在意識なのかなあ?
今流れた曲・・・・・。何だっけ・・・・・?うん?・・・・・イパネマの娘って曲
あったよなあ・・・・?
そんな程度でリクエストしちゃうワケ?・・・・。」


<ミイ>

「昔はピアノ・バーって六本木の辺に結構たくさんあったらしいの。
グランド・ピアノのまわりがカウンターになっていて、そのカウンターに席があってね。
今でも数軒はあるらしいけど。おかあさんはそういう場所でもずいぶん演奏をしていた
そうよ。」


<ケン> 「そうそう、その話はボクも聞いたことがあるよ。
リスナーと席が近いせいもあって、いろんな話をしながら演奏するんだって。
もちろん音楽の話らしいけど。

”今の曲は何?”とか、お客様も熱心な人が多いらしいし、
自然にお互いの礼儀が分る場所かもしれない。」


<ミイ> 「そうなのよ。リスナーと演奏者が近い距離でコミュニケーションが取れて、
楽しい雰囲気になりますよね。」


<ケン> 「大きなステージで聴くのもステキだし、そういった近い関係で聴くのもどっちもステキ
だけど、やっぱり基本的な礼儀は大切だと思うよ。」


<ミイ> おかあさんが始終言っているのは、例えばお料理なんかだと”専門”っていうことが
理解されるのに、音楽になると”専門”ってあまり理解してもらえないって。

演奏家は”大衆食堂”みたいな人は少なくて、ある程度”クラシック専門”、
”ジャズ専門”とか”シャンソン専門”とか得意なジャンルがあるんだって。

お料理もコックさんによって専門ってあるから、スパゲッテイー屋さんに入って
"ハンバーグ無いの?”って変でしょ。」



<ケン> ヒロにいちゃんが言ってたけど、
ビジュアル的な専門家って言われている人が、音楽のこと全く分らずに企画してしまう
から困るって。

アニメとかCGでビジュアルでは
カッコ良かったり、
美しいと思われたって、
例えば滝の脇にステージを作って
そこで演奏なんて無理。

でも実際にあった話なんだと。
楽器は木とか金属で出来ているから
水しぶきなんか掛かるとダメに
なってしまう。

その上滝ってザーって音がず〜っとしている
訳で。
そういうこと実際やってみて初めて「コレは
マズイ!」って。


<ミイ> 音楽とか音楽の環境とかってそんなに
難しいことじゃないのに、
何故か難しいことになっちゃうのね。

猫なのに犬さんみたいにリードを
付けてお散歩させられたり、

猫はきれいな毛皮を着ているのに
その上にお洋服を着せられちゃうのと
同じ?」



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